米国特許関連の用語解説集です。単なる翻訳辞書と異なり、特許で使用された場合の語句の意味や、米国での具体的な判例を通した対応の指針など、米国特許出願における実務レベルの対応に役立つ情報をまとめました。
誤りなどお気付きの点がありましたら、是非ご連絡ください。
<参考文献>
- ドナルド・S・チザム著、竹中俊子訳『アメリカ特許法とその手続』(雄松堂)
- ヘンリー幸田著『米国特許法逐条解説(第4版)』(発明協会)
- 高岡亮一著『アメリカ特許法実務ハンドブック(第2版)』(中央経済社)
- 川口博也著『基礎アメリカ特許法』(発明協会)
- 鈴榮内外國特許法律事務所編『アメリカ特許の実務』(発明協会)
- 末村耕太郎著『判例で読む米国特許法』(商事法務研究会)
- 兼坂学著『米国特許出願の手引』(東京布井出版)
<参考セミナー>
- デビッド・ルービッツ米国特許弁護士『米国特許セミナー』(弁理士クラブ)
■数字
- 35USC
- 特許法(35 United States Code)。
- 37CFR
- 特許規則(37 Code of Federal Regulation)。
■A
- abandon
- 放棄。権利の主張を自ら断念すること。米国法における権利放棄の要件には、放棄を客観的に示す行為(external act)と放棄の意思(intention)が必要。
- Abele case
- アベレ事件(In re Abele, CCPA, 1982)。ソフトウェアの発明性を示した事件。但し、State Street Bank Caseで新基準が示され、今では利用されていない。Abele caseでの判断は、第1に、クレームにおいて計算方式が直接又は間接的に用いられている場合であって、第2に、その方式がクレーム全体としての物理的要素のいずれかに適用されている場合に、§101の要件(法定の保護対象要件主題が特許の対象となること)を満たすとされる。
- Abstract
- 要約書、抄録。以前、要約書は権利解釈に用いられないとされたが、判例により要約書の内容も権利範囲を確定する資料に用いられることとなった(CCS Fitness, Inc., v. Brunswick Corporation CAFC 2002.5.3)。
- abstract ideas
- 抽象的アイデア(特許の保護対象から除外されたもの)。
- abuse of discretion
- 裁量権の濫用。陪審の事実認定で原判決を取り消すに当たり、裁判所の決定に誤り等があるとする場合に適用される基準。
- active inducement
- 積極的誘発行為(§271(b))。他人の直接侵害を積極的に且つ故意に幇助又は示唆する行為であり、侵害となる。
- actual reduction to practice
- 現実の実施化。実施化についてはactualとconstructive(constructive reduction to practice参照)がある。現実の実施化は、発明の実用性を確認するためのもの。
- Administration Law Judge
- ITCにおける裁判官(ALJ)。
- Admissions
- 自認。明細書又は審査中に提出されたその他の文書の中に、発明日以前から一定の情報が発明者に知られていた旨の記載があれば、それは先行技術を構成するものと出願人によって自認されたものである。
- admitted prior art
- 自認した先行技術。特許出願においては、公知であるか否かを問わず出願人が自ら出願明細書の従来技術の欄に記載した技術内容のことをいう。自認した先行技術に他の先行技術が組み合わされて、発明の非自明性が否定されることがある。
- advisory action
- 勧告的通知。最終拒絶に回答したが、拒絶理由が解消されないと、審査官から通知される意見。このactionへは、継続審査請求(RCE[参照])で対応できる。
- Affidavits
- 宣誓供述書。宣誓供述者が作成し、公証人による公証を受けた書類(類 declaration宣誓書)。
- Affiliate
- 関連会社。
- Agreement
- 契約。
- ALJ
- Administration Law Judge参照。
- all element rule
- クレームにおける全構成要素で技術的範囲を決定する原則。
- Allowance
- 許可、特許査定(notice of allowance参照)。
- Amendment
- 補正。拒絶理由等に対して補正は可能であるが、35USC§132は出願当初の明細書及びクレームへの新規事項(new matter)の導入を禁止している。新規事項とは、出願当初の開示からの逸脱した内容を明細書及びクレームに追加のことである。よって、出願当初の明細書等に開示されていた記載を明確にする訂正、若しくは明細書等に本来開示されていた事項に、クレームを適合させる訂正は新規事項禁止の違反とはならない。
訂正されたクレームに対しては、出願当初の開示内容に補正の根拠がないと考えられる場合は、35USC§112第1パラグラフを拒絶の根拠とし、新規事項を追加した要約書、明細書又は図面に対しては、35USC§132を拒絶の根拠としている。 - amicus brief
- 法廷助言書。当事者でない第三者が裁判所に提出する意見陳述書。
- Anglo-American Law
- 英米法。
- Answer
- 審査官の答弁書。審判において、拒絶した審査官に答弁させる書面。Final Actionの理由の繰り返しとなる。
- Antecedent
- 先行詞(lack of antecedent basis参照)、前項、従属claimの場合に親となるclaim。
- Anticipate
- 発明の予期。先行技術(prior art)に基づき発明が予期可能であったとき、その発明は新規性を失う。拒絶理由でanticipateは新規性がない意味で用いられる。
- Appeal
- 審判。最終拒絶通知(Final Office Action)への応答が審査官に容認されない時は、審判(Board of Appeals and Interferences)に控訴しなければ、出願は放棄されたものとなる。
控訴届(Notice of Appeals)は最終拒絶通知に定められた期間(3ヶ月、延長3ヶ月可能)内に提出しなければならない。更に、控訴届から60日以内に控訴理由書(Brief on Appeal)を提出する。審判請求の期間と勧告的通知(advisory action参照)とは無関係であるから、勧告的通知を審判請求の起算点にしてはならない。
控訴届の提出後は、審査手続が既に終了しているため、クレームの補正、新たなクレームの提出は認められない。
審判の決定に不服の場合、連邦巡回控訴裁判所(CAFC Court of Appeals for the Federal Circuit)に提訴でき、更にCAFCの判決に不服のときは、連邦最高裁に上告できる可能性がある。但し、最高裁では受理されないケースもある。 - appeal brief
- 審判理由主張書。
- appearance
- 外観(商標の類似の一要素)。
- appellant
- 控訴人。
- appellee
- 被控訴人。
- applicant
- 出願人。米国では発明者しか出願人になれない(37CFR 1.41(a))。企業は、職務発明の場合でも特許を受ける権利を譲り受け、譲受人(assignee)として手続を行う。
- application number
- 出願番号。出願が方式に適合すると、出願番号が付与され、出願番号と出願日が通知される。
出願日が認められ、出願番号が付与されるには、1.すべての発明者の表示、2.明細書、少なくとも1つのクレーム、必要な図面、を要する。出願番号は、10年を単位とし、連続番号が付される。 - art-recognized equivalents
- 当該技術分野において承認されている均等物。
- artisan of ordinary skill
- 当業者。
- assignee
- 譲受人(ゆずりうけにん)。
- Assignment
- 譲渡。
- attorney-client privilege
- 弁護士と依頼人との間の不開示特権。開示要求(discovery)に対して、一定の免除事項(privileged matter)を除き、いかなる事項も開示の対象となる。不開示特権は、その免除事項の一つに該当する。
■B
- base claim
- 基本クレーム。
- basic invention
- 基本発明。
- basis
- 基準。
- belong
- 帰属する。
- bench trial
- 裁判官のみの裁判(陪審員がいない裁判)。
- best mode requirement
- ベストモード(最良実施例記載)要件。明細書の3つの記載要件の一つ。明細書には、発明を成し遂げた発明者が最良と考える実施態様を記載しなければならないという要件。最良であるか否かの判断は、発明者の主観的判断で構わない。ベストモード要件の判断時は、出願日が基準となる。日本出願を基礎としてパリルートで米国出願する場合、ベストモードの判断時は日本出願時となる。
審査過程では、ベストモード要件違反で特許出願が拒絶になることはほとんどない。ベストモード要件違反が問題になるのは、侵害訴訟において、発明者が尋問された場合等が考えられる。 - beyond a reasonable doubt
- 疑義なき証拠(evidence参照)。刑事訴訟法において、有罪を示す事実につき、疑問を差し挟む余地がない程度に明瞭な証拠。
- blocking patent
- 利用発明の特許。
- Board of Patent Appeals and Interferences
- 審判・抵触審査部(BPAI)。
- brief
- 主張書。
- brief summary
- 発明の要旨。
- burden of persuasion
- 立証責任。
- business method exception
- ビジネス方法の発明を保護対象から除外する考え。State Street Bank事件の控訴審判決で否定された。
- but for test
- 事実的因果関係。
■C
- CAFC
- 連邦巡回区控訴裁判所(Court of Appeals for the Federal Circuit)。13の巡回区に分かれ、特許法等、契約に関する事件の控訴の専属管轄となる。但し、事件が著作権、マスクワーク、商標法に基づく訴訟原因に係るものは管轄権を有しない(28 USC §1295(a)(1))。
- cause celebre
- 有名な訴訟事件。
- cease and desist letter
- 警告状(warning letter参照)。
- certification of correction
- 訂正証明書。特許付与後に特許証に誤りがあった場合、請求により訂正証明書を発行してもらうことで訂正が可能である。
- charge
- 陪審員への説示。
- chemical formula
- 化学式。
- CIP
- 一部継続出願(Continuation-In-Part application参照)(§120)。
- citation
- 引用例。
- cited reference
- 引用例、引用文献。
- civil law
- 大陸法。
- claim
- 特許請求の範囲、クレーム。クレームには、他のクレームに依存しない独立クレーム(independent claim)、他のクレームを引用して限定する従属クレーム(dependent claim)、他のクレームを複数引用して限定する複合従属クレーム(multiple dependent claim)がある。
複合従属クレーム(according to one of claims 2, 3 and 4)は、認められるが、複合従属クレームを引用する複合従属クレームは、原則禁止されている。複合従属クレームには追加手数料がかかるが、そのクレームを別々に分けて全部でクレーム数が20以内であれば、追加手数料は不要である。
クレームは、前文(preamble)+接続部(transition)+本文(body)から構成される。例えば、An apparatus for converting radio signal, comprising…の場合、comprisingが接続部となり、それ以前が前文となる。接続部にcomprisingを用いると、発明として、クレームに記載した構成要素以外の要素があってもよいことになる(open terminology/open ended)。一方、接続部にconsisting ofを用いると、構成要素として記載した要素しか認められない(close terminology/closed ended)。尚、consisting essentially ofの場合は、実質的に等価なものを含むことがあるという意味になる。
consisting of, consisting essentially ofは、Office Actionに対して、引用例を除外する場合に用いられることがある。
claimにおいて、前文における限定、本文における機能又は用途の限定は、審査官は無視して構造の特徴で発明を把握する。よって、これらの限定で発明の特徴を主張しても有効ではない。 - clear and convincing evidence
- 明瞭かつ確信的証拠(evidence参照)。民事訴訟では最も高いレベル水準の証拠をいう。明瞭に相手方の主張を圧倒する説得力が求められる。
例)smoking gun「死体の側に煙の出ているガンを持った被告人が立っていた」という目撃証言程度の間接証拠 - collateral estoppel
- 無効判決の対世的効力。無効判決が確定している場合、裁判でその無効判決を援用できる。
- commercial impression
- 商業上の印象(商標の類似の一要素)。
- common knowledge
- 常識。
- Common Law
- コモン・ロー。社会規範とそれを解釈する判例法とから成る。
- common subject matter
- 共通事項。
- competitor
- 競争相手。
- composition
- 化合物。
- composition of matter
- 組成物(§101)。
- compulsory license
- 特許の強制実施権。
- conception
- (発明の)着想。
- concurring opinion
- 裁判官の多数意見。
- conflict
- 競合。
- Congressional Quarterly
- 議会季刊誌。CQ
- connotation
- 観念(商標の類似の一要素)。
- constructive reduction to practice
- 法定の実施化。現実の実施化に対して法定の実施化は、発明を特許出願することである。
- contemporaneous
- 出願時の[証拠]。 ←→ non-contemporaneous(出願後の[証拠])
- continuation application
- 継続出願(CA)(§120)。継続出願(CA)は、最終拒絶通知によって新規争点(new issue)に関する補正が許されない時に、明細書中に記載した範囲内で、new issueに係る発明内容を親出願の出願日にて出願できるものである。
継続出願の要件は、1.原出願が審査に継続していること、2.原出願と同じ明細書内容であること、3.発明者が同一であること。 - continuation in part application
- 一部継続出願(CIP)(§120)。先の出願に新規事項(new matter)を追加してその新規事項に基づく改良発明をクレームにした特許出願である。先の出願の出願日の利益は受けられず、CIPの出願日が現実の出願日となるが、親出願の内容部分は、親出願の出願日を基準に判断される。
- continued prosecution application
- 継続出願(審査手続を継続する出願/CPA)。1997年の規則改訂により、親出願を放棄し、親出願の内容を完全に引き継ぐ継続出願(出願日、出願番号が親出願と同じ)を継続審査出願(CPAContinued Prosecution Application)として導入した。2000年5月28日以前の出願に適用。新たな明細書、宣誓書が不要。但し、継続審査請求(RCERequest for Continued Examination参照)を使うこともできる。
CPAは、親出願が最終拒絶となり、それを回避するためのクレームの補正が認められないとき、審判を請求せずに補正を行う手段として有効である。
但し、このCPAは、2000年5月29日以降の出願からは利用することができず、代わって、手続が簡単なRCEを行うことになった。 - continuing application
- 継続出願。1.継続出願(Continuation ApplicationCA)、2.一部継続出願(Continuation-in-part ApplicationCIP)、3.分割出願(Divisional Application)がある。
- contract
- 契約。
- contributory infringement
- 寄与侵害(§271(c))。発明の要部をなす、特許された部品、特許された方法を実施するに使用する材料又は装置が、特許侵害の用途のために特別に製造又は改造されたものであって、かつ実際上特許を侵害せずに使用することのできる一般的商品でないことを知りながら販売する行為。その行為をした者は、侵害幇助者として責任を負う。
- contributory infringer
- 侵害幇助者、侵害寄与者(contributory infringement参照)。
- counterclaim
- 反訴。侵害訴訟において、被告が原告に対して答弁書のなかで提起する訴え。
- court reporter
- 裁判所記録官。
- CPA
- 継続出願(審査手続を継続する出願/Continued Prosecution Application参照)。
- cross appeal
- 反審判請求。
- cross reference
- 関連出願に対する説明。
- cumulativeness
- 重畳性。IDSの提出書類で重畳的な文献は該当しない。
■D
- damage
- 損害。損害のタイプには、損失利益(lost profit)、相当な実施料(reasonable royalty)、それに意匠(design patent)の場合は侵害者利益(infringer's profit)が含まれる。
- de novo
- あらためて、初めから(from the new)。今までにない類の初めての事件(裁判)。
- decision on petition
- 請願決定書。一部の発明者に誠実に対処してもサインが得られない場合に提出した請願書(petition)に対する特許庁の決定書(37CFR 1.47(a))。
- declaration
- 宣誓書。宣誓者が作成し、公証を受けていない書類。出願時に提出される宣誓書には、最先の発明者であること、出願内容を理解していること、情報開示の義務を負うこと、発明者の氏名が明示されていること、等が記載される。
- declaration and power of attorney
- 宣誓書及び委任状。発明者が発明したことを表明し、署名した書類と代理人への委任状。両書類は、出願から2ヶ月又は補正指令が出てから30日以内(期間延長可)に提出しなければならない。但し、補正指令は、出願から2ヶ月してもこれら書類が提出されない場合に発せられるので、提出期限は出願から約3ヶ月ということになる。
- declaratory judgment action
- 確認判決訴訟(DJ Action)。特許権者から警告を受けた者が、地理的に優位な裁判管轄を選択し、ユーザに対して製品が非侵害であることを補償する意味合いがある。費用は60〜100万ドル/年。
- deposition
- 証言録取。質問状に対する回答として証言を得るもので、供述人(deponent)又は証人(witness)が証言を行う。
- description requirement
- 記載要件、明細書の3つの記載要件の一つ。明細書には、発明を充分に明確かつ適切な用語で記載しなければならないという要件。具体的には、1.クレームに記載された発明と明細書に記載された発明が一致すること、2.クレームで使用した用語は明細書中に充分に記載されていること。尚、構成要素が予測可能であればクレームと明細書における不一致の問題が解消される。更に、数値限定発明にも記載の一致が必要である。
- design
- 意匠。
- design application
- 意匠出願。
- design choice
- 設計上の選択。
- Dieher case
- ディア事件(Diamond v. Diehr, 最高裁 1981)。1981年最高裁判決で、ゴムのキュアリング方法に関してクレームの一部にコンピュータによる計算式が含まれる発明であっても、物理的処理を含めた全体としてのクレームにプロセスとして特許性があるとの判断を下したもの。つまり、自然法則、自然現象、抽象的なアイディアは特許保護適格性(patent eligibility)がないが、それらの応用には特許保護適格性があると判示。
- direct infringement
- 直接侵害(§271(a))。米国国内において特許権の存続期間中に特許発明を許可なく生産、使用、販売の申し出、販売又は輸入する行為を、特許侵害とするもの。尚、物の製造方法の特許で製造した物の輸入については、プロセス特許侵害(§271(g))により侵害行為となる。
- disavow
- 意見書等で責任を否認する。
- disclaimer
- 権利放棄(§253)。権利放棄にはstatutory disclaimer(法定放棄)とterminal disclaimer(存続期間の放棄)がある。
- disclosure
- 自主開示。相手方からの情報開示の請求がなくても、当事者は一定の情報を開示する義務がある。
- discovery
- 開示手続、発見(§110)。開示手続きとは、当事者が事件に関する情報を開示し、収集するために法定外で公判前に行われる手続。米国裁判における集中審理では、一方の当事者から不意に重大な証拠が提出されると、他方が十分に反論できないことになる。このような事態を防止して公平な審理を行うための制度。ディスカバリーの機能は、不意打ち防止機能、証拠収集機能、証言凍結機能がある。
証拠収集機能とは、訴訟の一方の当事者からの要求により、自己の証拠であれば訴訟の争点に関する事実及び証拠を示し、証拠は閲覧させる義務を負うというもの。証言凍結機能とは、一旦行った証言を凍結するというもの。
ディスカバリーの内容は、質問状(written interrogatories参照)、証拠書類提出要求(request for production of document参照)、証言収録(deposition参照)、自認の要請(request for admissions参照)がある。 - discretion
- 裁量。裁量権。
- dismiss
- 却下。
- dissenting opinion
- 裁判官の反対意見。
- District Courts
- 連邦地方裁判所。ごく限られた場合に3人となるが、通常1人の裁判官の法廷となる。
USPTOの審判部の拒絶査定を支持する審決等に不服な場合、ワシントンDCのコロンビア地区連邦地方裁判所に提訴できる(§145)。 - divisional application
- 分割出願(§121)。親出願に開示された発明であって、親出願でクレームされなかったクレームについて親出願の出願日で出願できるもの。
米国特許法121条の分割出願は、出願日が1995年6月8日から2000年5月28日までのものは、規則1.53(b)、規則1.53(d)のいずれかを選択して行うことができる。
2000年5月29日以降の出願は、規則1.53(b)の手続でしか分割出願を行うことができない。規則1.53(b)の手続は、特許発行前まで分割が可能である。規則1.53(d)の手続は、特許料の支払前まで分割が可能である。
尚、規則1.53(d)の手続は、CPA(審査継続出願)と呼ばれ、拒絶査定に対する分割を簡易に行う場合によく利用される。 - DJ action
- 確認判決訴訟(declaratory judgment action参照)。
- doctrine of equivalent
- 均等論。明細書、図面に開示された限りにおいて発明の構成、物質、作用が実質的に同じであれば例外的に侵害を認めるとする(Graver Tank 事件参照)。クレーム記載の文言のみで特許権の権利範囲を特定すると、些細な違いで範囲外になってしまうため、特定の要件の下で拡張解釈を認める。
均等論は、対象製品が特許発明と、1.基本的に同一の方法で、2.基本的に同一の機能を果たし、3.同一の結果を果たす場合に適用される。この要件をFWRテスト(FWR test参照)、又はtriple identityテストと呼ぶ。
侵害訴訟では、まず、文言侵害、続いて均等論による侵害を判断される。尚、地裁で文言侵害のみの主張を行い、均等論での侵害を主張しなかった場合、CAFCで均等論を主張できない。これは、CAFCが専ら法律問題を審理するからである。 - double patenting
- 重複特許、二重特許。重複特許には、出願人(発明者)が異なる場合と出願人(発明者)が同一の場合とで対応が異なる。出願人が異なる場合は、§102(e)(g)で拒絶になり、その後はInterferenceの問題となる。また、出願人が同一の場合は、重複特許で拒絶になり、重複する該当クレームの存続期間を一部放棄(terminal disclaimer)することで対応できることがある。
重複特許とは、同一発明者(同一譲受人)による2の特許出願において、請求項が同一であることをいう。重複特許には、同一型(same invention type double patenting)と自明型(obviousness type double patenting)があり、双方とも拒絶される。尚、自明型は、存続期間の一部放棄(terminal disclaimer)により拒絶を回避できるが、同一型は回避できない。 - drawing
- 図面。
- due date
- 期限。
- duty of candor
- 廉潔癖義務。
- dwelling address
- 居所。
■E
- effective filing date
- 実効出願日。出願が優先権主張を伴っている場合に、優先権主張の基礎となった出願日。優先日ともいう。
- election species requirement
- 種の選択要求。明細書中に多くの種(species)があるときは、審査官は先行技術調査の便宜のため、種の選択(election)を求める。electionは、2つ以上の種のクレームに対してそれらを包括する包括(Generic)クレームがある場合に、審査官は包括クレームが新規性、非自明性等の特許要件を満たす可能性が低いと判断した場合、出願人に1つの種を選択するよう要求し、出願人が選択した種のクレームを審査する。この審査で選択した種のクレームについて特許を許可すべきものと判断すると、審査官は包括クレームを審査することになる。
- element by element comparison theory
- 構成要件比較理論←→発明全体理論(invention as a whole theory参照)。
侵害訴訟における被告製品は、特許権のクレームの構成要件毎に対比を行って、クレームの全部の構成要件又はその均等物の要件を満たす場合に、侵害が成立するという理論。最高裁は、発明全体理論ではなく構成要件比較理論を採用した。 - en bank
- 全員法廷。CAFCで12名全員。
- enablement requirement
- 実施可能要件。明細書の3つの記載要件の一つ(§112)。特許明細書において、当業者がその発明を製造し、使用できる程度に記載しなければならないという要件。実施可能か否かは、過度の実験(undue experimentation)なしに当業者がその発明を実施できるかどうかで判断され、具体的には、1.特許請求の範囲、2.発明の性質、3.先行技術の状態、4.技術水準、5.予測可能性、6.発明者からの実験の方向性についての情報量、7.裏付けられた実施例、8.発明を実施するのに必要な実験の量で判断される(MPEP2164.01(a))。
- equity
- エクイティ、衡平法。フェアネスの規範とその規範を解釈する判例法から成る。
- equivalent
- 均等。doctrine of equivalent参照。
- erroneous
- 誤った。
- established business principles
- 確立されたビジネス方式。
- estoppel
- 禁反言 /prosecution history estoppel,file wrapper estoppel 参照。
- evidence
- 証拠。証拠の基準は、1.疑義なき証拠(beyond a reasonable doubt参照)、2.明瞭かつ確信的証拠(clear and convincing evidence参照)、3.標準的証拠(preponderance of the evidence参照)、4.外観的証拠(prima facie evidence参照)があり、4.→1.の順で証拠レベルが高くなる。
- ex parte
- 当事者の一方、査定系の。
- ex parte quayle
- 審査官の一方的疑問に対する拒絶理由(クワイル型指令)。先行技術によらない拒絶理由で、審査官が発明の特許性を認めるものの、クレーム等の記載不備を一方的に指摘するもの。応答期間が2ヶ月と通常の3ヶ月より短い。
- ex parte reexamination
- 査定系再審査。
- exhaustion doctrine
- 消尽説。特許製品の購入者は、購入という行為により特許権が消尽するとする理論。
- experimental use
- 試験的使用。
- expert testimony
- 専門家の証言。
- explicitly
- 明示的に。
- extension of time
- 期間の延長。
- external act
- 客観的に示す行為。
- extrinsic evidence
- 外来的な(付帯的な、非本質的な)証拠、例専門家の証言、論文。
■F
- factual inquires
- 事実審理。
- federal magistrate
- 連邦判事。
- Festo Case
- フェスト事件。均等論と禁反言の関係を示した判決。
(1) Festo Corp. vs. Shoketsu Kinzoku Kogyo Kabushiki Kaisha. 2000.11.29. CAFC判決
CAFCでは、「特許性に関連する実体的理由(substantial reason related to patentability参照)」とは、先行技術を克服するに限らず、特許取得のための要件全てを含むと判断し、特許取得のための補正及び自発補正の全てについて禁反言が生じ、均等論の適用を認めなかった(complete bar)。
(2) Festo Corp. vs. Shoketsu Kinzoku Kogyo Kabushiki Kaisha. 2002.5.28. 最高裁判決
最高裁判決は、CAFCの判断を破棄し、均等論の適用を柔軟に認めた(flexible bar)。つまり、特許を受けるための減縮補正した要素について禁反言が生じるが、その他の要素については均等論を主張し得るとした。 - field of endeavor
- 努力傾注分野。発明者が最も努力を傾注した技術分野で、先行技術調査で関連技術を発見するときに注意される。
- file wrapper
- 包袋(ホウタイ)。米国特許庁において、出願書類及び審査関連書類一式が収納されており、権利範囲を確定するのに参照される。
- file wrapper estoppel
- 包袋(ホウタイ)禁反言。prosecution history estoppel(審査経過禁反言)を参照。
- final office action
- 最終拒絶通知。最終拒絶通知には、1.全クレームの最終拒絶(final rejection)と、2.クレームの一部許可と他のクレームの最終拒絶とがある。最終拒絶通知には、補正、継続出願、一部継続出願、継続審査請求等の対応をとることになる。
最終拒絶通知の後は、許可のため、又は審判で有利となるための限定的な補正しか認められない。具体的なクレームの補正は、新規争点(new issue)の追加禁止の制限により、今までに提出したクレームを結合させ、より限定したクレームとすることである。 - first office action
- 拒絶理由通知。審査官は、新規性、非自明性の欠如を理由に拒絶するときは、適切な文献を指摘し、引用文献の写しを無料で添付する(日本特許庁では引用文献の指摘はあるが、その写しは出願人又は代理人で準備する)。このアクションで、クレームが許可されるよう適正な補正を行うことが示唆される場合があり、出願人の便宜が図られている。
first office actionには原則3カ月以内に意見書(remarks)及び補正書(amendment)を提出して応答しなければならない。この応答は、本質的なクレームの訂正、新たなクレームの追加のための唯一の機会となるから十分に検討すべきである。その後に続く、final office actionに対する補正は、新規争点(new issue)の追加が認められない限定的なものになるからである。拒絶理由を克服するために、実験結果や製品説明を宣誓供述書又は宣誓書により意見書等と共に提出するとよい。final office action後には、それら宣誓書等が参照されない可能性がある。 - first to invent defense
- 先使用権。1999.11.28.以降のビジネスメソッド出願に対して認められた。
- formality
- 形式、方式。
- formality examination
- 方式審査。出願書類は、最初に方式審査が為され、方式違反は出願人に通知される。その通知から6ヶ月以内に訂正されないと、出願が放棄されたものとされる。対応として、予備的補正(preliminary amendment参照)を行う。
- fraud
- 特許を得るために審査官を欺く行為。その代表として情報開示義務(IDS)違反がある。詐欺行為(fraud)が裁判所で認定されれば、特許権者は特許権を行使できない。
- FWR test
- FWRテスト。特許侵害訴訟において、均等(doctrine of equivalent参照)を主張・立証する際に用いる。Function, Way, Result(機能・方法・結果)の各点において実質的に同一であるか否かを基準とする。triple identity testとも呼ばれる。グレーバータンク事件(Graver Tank Case参照)で示されたが、後年、ヒルトン・デイビス事件(Hilton Davis Case参照)において、FWRテストの不明確性を補うものとして、非実質性テスト(insubstantiality test参照)及び構成要件比較論(element by element comparison theory参照)が採用された。
■G
- Golight, Inc., v. Wal-mart Stores, Inc Case (CAFC 2004.1.20)
- ジェプソンタイプクレームにおいて、機能的クレーム(means plus function claim参照)を用いたために、クレームには "horizontal rotation means" が360度回転するとの限定がなかったものの、実施例の構成から360度回転が特徴の一つとして解釈された事例。
- good faith
- 善意。
- grace period
- 猶予期間。§102の新規性喪失事由は、すべて出願より1年を超える以前の事実に限られるため、その期間が出願人にとって有用な猶予期間となる。
- Graham Case
- 最高裁における先行技術の調査と評価の指針を示した判決。1966年のGraham v. Deereの最高裁判決は、1.先行技術の範囲と内容を確定すること、2.先行技術と当該クレームの差異を明らかにすること、3.当該技術分野の技術水準を解明すること、4.非自明性の客観的証拠(いわゆる「二次的要素」)を評価すること、を示し、自明性判断の4つの事実審理を明らかにした。
- Graver Tank Case
- グレーバータンク事件(Graver tank v. Linde Air Products Co., U.S.P.Q.328米国最高裁 1950)。均等論について重要な判断を示した。均等論を事実問題と認定し、均等論を適用する基準としてFWRテスト(FWR test参照)を示した。
- gravy train
- 割の良い楽な仕事。
■H
- Hilton Davis Case
- Hilton Davis Chemical Co., v Warner Jenkinson Co., 最高裁 1997。ヒルトン・ディビス事件(ワーナー・ジェンキンソン事件)では、均等論(doctrine of equivalent参照)と禁反言(prosecution history estoppel参照)の関係を明確にし、以下の内容の判断が為された。
1.均等論の存続を確認した。2.構成要件比較理論(element by element comparison theory参照)の採用を確認した。3.禁反言に反する場合は均等論が適用されない。4.特許性の実質的理由(拒絶回避)で補正した場合、禁反言が生じ、均等論の適用がない。 - hindsight
- 後智恵。
- Hotel Security Case
- ホテルセキュリティ事件(Hotel Security Checking Co. v. Lorraine Co.1908)。ビジネス方法を特許の保護対象から除外する説(Business Method Exception)の根拠となった判決。この説は、State Street Bank事件で否定される。
■I
- implicitly
- 黙示的に。
- implied license
- 黙示のライセンス。黙示のライセンス理論(doctrine of implied license)とは、特許製品の購入者における使用には、黙示のライセンスが与えられているとの考えである。黙示のライセンスに関する判決に、ANTON/BAUER, INC., v. PAG, LTD.,(CAFC2003.05.21)がある。
以下の場合に、特許権者は、購入者に黙示のライセンスを付与する。1.特許権者が非侵害使用でない物品(侵害使用となる物品)を販売し、2.販売の状況が、ライセンスの付与が推測されるべきことを明示しているとき。 - improved invention
- 改良発明。IDS情報開示義務(Information Disclosure Statement参照)。
- incontestable
- 証拠等が議論の余地のない。
- incontestable clause
- 不可争条項。
- incontestable evidence
- 争わぬ証拠。
- indefinite
- 不明瞭な(§112)。
- indemnity
- 非侵害の保障。
- independent claim
- 独立クレーム。
- induced infringement
- 誘発侵害(active inducement参照)。
- inequitable conduct
- 非衡平的行為、情報開示義務違反。
- Information Disclosure Statement
- 情報開示書(IDS)。米国特許法特有の制度で、出願人は、知っている先行技術を審査官に開示する義務を負う(規則1.56)。これは、衡平の理念(Equity)から発生したもので、情報開示を怠った場合には、不正な行為又は詐欺(fraud)として特許権の権利行使が認められなくなる(MPEP2016)。
開示すべき情報は、特許性の審査に関して重要な情報であり、単独又は他の情報との組み合わせで拒絶理由となるような関連性のある情報である。関連する日本出願、欧州出願がある場合に、それら審査で引用された文献は情報開示すべきである。EPのサーチレポートの文献は全て提出すべし。
発明者の知る従来技術及び関連技術は、出願から3ヶ月以内に情報開示書でUSPTOに報告する。その後に発見した従来技術は速やかに情報開示書でUSPTOに報告する。その従来技術が日本語である場合、英訳文が入手可能であれば、英訳文を提出するのが望ましい。 - information material patentability
- 係属中のクレームの特許性に関連する情報。
- infringement suit
- 侵害訴訟(§271)。特許の侵害訴訟は、第1審が連邦地方裁判所の管轄であり、控訴審がCAFC、上告審が連邦最高裁判所(U.S. Supreme Court)で行われる。侵害の種類は、直接侵害(direct infringement§271(a))、積極的誘発行為(active inducement§271(b))、侵害寄与(contributory infringement§271(c))、プロセス特許侵害(process patent infringement§271(g))がある。
- infringement test
- 侵害テスト。
- insubstantiality test
- 非実質性テスト。クレームの構成要件と、被告製品の差異が、当事者にとって非実質的であるときは、均等と判断する。
- intention
- 意思。
- interference
- 抵触審査、最先発明者認定手続(§135)。先発明主義の採用(§102(g))により、異なる出願人が同一発明について特許出願をした場合に、いずれかが先に発明したかを決定する審査手続。抵触審査は、米国特許庁の審判(Board of Appeals and Interferences)で、3名の審査官によって行われる。
先発明として認定する要素は、1.発明を着想した日(Date of conception)、2.発明を実施化した日(Date of reduction to practice RTP)、3.発明の実施化に対する熱心さ(diligence)である。 - interlocutory
- 中間判決。
- interlocutory appeal
- 抗告。
- International Trade Commission
- 国際貿易委員会(ITC) スーパー337条。特許侵害の対象製品が輸入品であり、原告又は被告が外国人であって、損害が発生していなくても利用できる。
- interrogatory
- 尋問書、質問書。
- intervening right
- 中用権。
- intrinsic evidence
- 内在的な(固有の、本質的な)証拠 ←→ extrinsic evidence参照。
特許訴訟において、特許発明を特定するための直接的証拠。例クレーム(claim language)、明細書(specification)、要約書、手続履歴(prosecution history参照)等。 - intuitive
- 直観の、直感の。
- invalidity
- 無効。§102の発明の予期(anticipation1つの先行文献から発明が予期できる)による無効と、§103の自明性(obviousness複数の先行文献の組み合わせから当業者が自明である)による無効がある。
米国においては特許異議の制度はなく、特許を無効にする手続には、1.侵害の警告を受けた者が特許無効の確認訴訟(Declaratory Judgment Action DJ Action参考)を提起するか、2.侵害訴訟で相手の特許無効の主張するか、3.再審査(reexamination参照)を請求して特許を無効とするものがある。 - invention
- 発明(§100)。
- invention as a whole theory
- 発明全体理論←→構成要件比較理論(element by element comparison theory参照)。
構成要件比較理論とは異なり、発明を全体として1つのものとして捉え、それに対して均等理論を適用して、特許侵害訴訟における被告製品が特許権侵害か否かを判断するという理論。最高裁は、構成要件比較理論を採用した。 - ipo.org
- Intellectual Property Owners Association。米国における知的財産権関連のニュース満載の必見サイト http//www.ipo.org/
- issue fee
- 特許登録料。特許許可通知が発せられてから、3ヵ月以内に特許料(issue fee )を納付すると特許が付与(特許証[Letters Patent参照]が発行)される。尚、米国における年金(特許維持料)は、日本と異なり、年毎に納める必要があり、まとめて納付できない。
- ITC
- International Trade Commission(国際貿易委員会)。
■J
- Jepson type claim
- ジェプソンタイプクレーム。「△△において、○○を特徴とする(In a △△, the improvement comprising○○)」といった記載形式のクレーム。「△△において」部分が先行技術とされるので、このタイプのクレーム記載は望ましくない。
- JJ Case
- Johnson & Johnson Case, January 24, 2001, en bank USP5,153,050。Maxwell Caseの判断が正しく、YBM Caseの判断が誤りであることを確認した判決。Maxwell Caseでは、「明細書に開示されていても、クレームされていない事項には均等論が及ばない」と判断している。
- Johnson & Johnson Case
- JJ Case参照。
- joint invention
- 共同発明。
- judiciary
- 司法。裁判。
- Judiciary Committee
- 司法委員会。
- jurisdiction
- 裁判管轄、権限、司法行政、司法権。
- jury
- 陪審制度。司法手続のうち、事実認定に法律の素人(一般人)を関与させ、司法の公正を確保するための制度。米国における民事訴訟の場合、訴額が一定額以上であれば陪審裁判を請求できる。特許侵害訴訟においても陪審裁判が選択可能であり、一方が希望すれば他方が拒否しても実施される。陪審員は、審理において事実問題についてのみ判断し、法律判断は行わない。クレームの解釈は法律判断であり、特許侵害か否かは裁判官が判断し、侵害があればその損害の状態(賠償額を含む)を陪審員が認定する。陪審員の評決の後に、裁判官が判決を下すことになる。陪審裁判の特徴は、1.1週間以内に審理されるので、結論が早く、2.高い賠償額が認められやすく、3.専門家の意見を過大評価する傾向にあり、4.弁護士、証人、証拠の選び方が陪審員の判断に大きく影響する等がある。
■K
該当なし
■L
- laches
- 懈怠。特許権の行使を長期間怠った者は、権利行使できないことがある。特許手続を長期間怠った者は、成立した特許につき権利行使できないことがある(審査懈怠[prosecution laches]参照)。
- lack of antecedent basis
- 先行詞の欠如。方式違反(objection参照)として、クレームにおいて、先行するwordがないと指摘されること。
例)クレーム中に「the device」と出てくるが、その前の文中に「a device」がないこと。最初の「the」を「a」に補正することで方式違反は解消できる。 - lacks an advantage or unexpected result
- 効果又は予想外の結果を欠く。
- laws of nature
- 自然法則(保護対象から除外されたもの)。
- legal precedent
- 判例。
- legislative history
- 立法背景。
- Lemelson Case
- レメルソン事件,Symbol Technologies v. Lemelson, CAFC January 24, 2002。
上記裁判では、懈怠(laches参照)が問題となった。 - letters patent
- 特許証。
- literal infringement
- 文言侵害(literally infringement参照)。
- literally infringement
- 文言侵害。クレームと侵害物とを構成要件に分解し、クレームの構成要件が全て文理解釈上、侵害物に含まれる場合にのみ侵害が成立するというもの。文言侵害でない場合で、原告が均等論(doctrine of equivalent参照)による侵害を主張していれば、次に均等論による侵害が判断されることになる。
- litigation laches
- 訴訟懈怠。
■M
- machine
- 機械(§101)。
- magistrate
- レポート作成と勧告を行う下級裁判官。これに基づきJudgeが判断する。
- maintenance fee
- 維持料金。
- manufacture
- 製品(§101)。
- materiality
- 重要性、IDSの提出書類の重要性。
- Maxwell Case
- CAFC 1996, USP4,624,060。CAFCは、明細書に開示された事項であって、クレームされなかった事項について均等論を特許権者に適用しないことで、均等論を制限した。
- means plus function
- §112(6)の機能的クレーム/ミーンズクレーム。ミーンズクレームかどうかは、1.記載された機能を判断し(identify the function)、2.機能を実現するのに必要な明細書中の固定された構成を判断して(identify the structure disclosed in the specification which is necessary to perform the function)決定される。よって、明細書の中には、機能を実現する構成を多く記載するのが望ましい。尚、ソフトウェアの発明であれば、機能を実現する構成が記載されないことになる(日本ではハードウェア資源の利用性の記載が要求される)。
- misappropriation
- 不正流用。悪用。
- miscellaneous
- 時間制限のない(no function time)。
- missing parts
- 紛失部品、紛失書類。USPTからNotice of missing partsが届いた場合、提出書類の一部がない場合の他、要約書のワード数が150語を越えている場合にも、150語以内にするよう指示されることがある。
- mode
- 態様。
- MPEP
- 審査基準(Manual of Patent Examination Procedure)。MPEPには、明細書、図面、クレームに関する具体的な事項が規定されている。
- multiple dependent claim
- 複合従属クレーム(claim参照)。
■N
- NDA
- 守秘契約(Nondisclosure Agreement)。
- new issue
- 新規争点。新規争点(new issue)とは、明細書に記載されているが、クレームに記載されていなかった事項を導入することをいい、明細書に記載されていなかった事項をクレームに記載する新規事項(new matter)とは区別される。
- new matter
- 新規事項、補正による新規事項の追加は認められない(35USC §132)。
- NOA
- 特許査定(notice of allowance参照)。
- non-contemporaneous
- 出願後の[証拠]。
- non-obviousness
- 非自明性(§103)obviousness参照。
- nonpatent literature
- 非特許文献(NPL)。
- notice of allowance
- 許可通知(NOA)。全てのクレームを許可する旨の通知。拒絶通知が存在しないか、又は応答によって拒絶理由が克服されたと審査官が認める場合には、特許許可通知(notice of allowance)が発行される。また、final office actionに応答しても拒絶理由が克服されないと審査官が認めた場合には、勧告的通知(advisory action)が発行される。
- notice of patent expiration
- 特許終了通知。特許の維持費用(年金)を支払わなかった場合に、発せられる特許を終了させる旨の通知。
- novelty
- 新規性(§101,102)。
- NPL
- nonpatent literature(非特許文献)。
■O
- objection
- 方式的拒絶理由←→実体的拒絶理由(rejection参照)、異議申立。
Office Actionにおいて、明細書等における方式的拒絶理由は、objectionとして明記され、§102,103等の実体的拒絶理由は、rejectionと明記される。 - obligation
- 義務。
- obviate
- 回避。
- obviousness
- 自明性。自明性を判断するための4つの要素とは、[1]先行技術の範囲と内容、[2]クレームと先行技術の相違、[3]適切な(pertinent)先行技術における当業者の水準、[4]第2の考慮(Secondary Consideration)である。第2の考慮とされるものは、1.商業的成功(commercial success)、2.長い間感じられていた必要性(long term felt need)、3.ライセンス(licenses)、4.他の失敗例(failure of other)、5.複製品(copying)等である。自明性に対する意見書等での反論のポイントは、先行技術を組み合わせる動機付けと示唆(motivation and suggestion to combination the references)がない旨主張することである。先行文献には組み合わせできないように教示されている(teaches away)旨の主張もよい。
- office action
- オフィスアクション。原則2回(ファーストオフィスアクション[first office action]とファイナルオフィスアクション[final office action])あり、応答期限は3カ月で、延長料金を支払うことで、最大6カ月まで延長可能である。
- Office Action Summary
- オフィスアクションの要約。Office Actionの2ページ目に記載された重要事項。右上に出願番号(Application No.)、出願人(Applicant)、審査官(Examiner)、技術部門(Art Unit)が記載され、上から順に以下の事項が記載されている。
1.応答期間(period for reply)1ページ目に記載されたDATE MAILED(これが小さい文字なので要注意)から原則3ヶ月(延長更に3ヶ月可)。2ヶ月のときもある。
2.状態(Status)何に対応するもので、final又はnon-final、Ex parte Quayle対応か等が記載。
3.クレームの処分(Disposition of Claim)生きているクレーム、取り下げられたクレーム、許可されたクレーム、拒絶されたクレーム、方式違反のクレーム、限定又は選択要求対象のクレームが記載。
4.出願書類(Application Papers)方式違反の明細書、提出された図面の状態、宣誓書違反について記載。
5.優先権(Priority)優先権の状態を記載。
6.添付物(Attachment(s))引用文献通知等の項目が記載。 - Official Gazette
- 特許公報。米国特許公報(Official Gazette)は、毎週火曜日の正午に発行される。
- official notice
- 審査官に顕著な事実。
- omnibus claim
- 総括的請求項。
- on sale
- 販売(35USC §102(b)) → sale参照。
- one year rule
- ワン・イヤー・ルール。新規性喪失事由は、すべて米国出願日より1年を超える以前の事実に限られるとする。
- open-ended claim
- 制約のないクレーム。クレームにおける各構成を結び付ける動詞として、comprising, including, containing を用いるクレームは、クレームに明記された構成以外の構成を含むことをいう。これに対して、consisting of は、クレームに明記されていない構成を含まない closed claim である。
- operability
- 実施可能性。刊行物における記載が当業者にとって理解しうる程度であっても、実施できる程度に詳しくない場合、新規性喪失の事由とは認めていない(Seymour v. Osborn, 78 US 516,1870)。但し、不十分な記載であっても、非自明性喪失事由としている(Merck v. Marzall, 93 USPQ 428,1952)。
- opposition
- 異議。
- oral hearing
- 口頭弁論。
- order
- 当事者系再審査の決定。
■P
- PALM
- USPTOが使用する期日計算のソフトウェア。
- parent application
- 親出願。
- particularized testimony and linking argument
- 列挙された証拠及びそれに関連する主張。特許侵害訴訟において、原告はFWR テスト(FWR Test参照)に基づき、当該テストの方法、機能、結果について列挙された証拠及びそれに関連する主張をもって、均等(doctrine of equivalent参照)を立証する。
- patent eligibility
- 特許保護適格性。§101に記載された方法、機械、製造物等について特許を受けることができる旨の規定があるが、自然法則、自然現象、抽象的なアイディアについて特許の保護適格性は規定されていない。そのため、裁判では特許保護適格性の解釈で問題になることが多い。USPTOは、2014年3月に特許保護適格性に関する改訂審査基準を公表した。
- patent speculator
- 特許投機家。特許で一儲け企む法律専門家。
- patent term
- 特許期間(§154)。特許は登録により発生し、米国出願から20年で消滅する。米国出願日を起算日とするので、パリ条約に基づく優先権期間は、特許の期間には含まれない。但し、継続出願、分割出願等は最先の出願日を起算日とする。
- patentability
- 特許要件。
- per se
- それ自体で
- perpetual motion machine
- 永久機関。
- petition
- 再考請求。請願書。上申書。
- petitioner
- 上告人。
- physical phenomena
- 物理的現象(保護対象から除外されたもの)。
- plaintiff
- 原告(π(パイ)ともいう)。
- pleading
- 答弁手続。
- post-grant review
- 特許付与後レビュー。
- practical application
- 実際の適用。ソフトウェア発明が発明として認められるための要素
- pre-publication
- 出願公開。
- preliminary amendment
- 予備的補正。手続上の方式不備を訂正するには、予備的補正を行うことになる。
- preliminary injunction
- 仮差押え。裁判所が仮差押えを認めるに考慮する事項が4つある。1.申立人に勝訴する論理的可能性があるか否か、2.仮差押えを認めなかった場合の申立人の被る回復できない損害があるか否か、3.申立人にとって困難性の均衡があるか否か、4.仮差押えを認めることによる公共の利益があるか否か、である。
- premature reviews
- 時期尚早の審理。
- preponderance of the evidence
- 標準的証拠。民事訴訟において通常適用される証拠の水準。対立した当時者の主張を比較し、説得力において優越する当時者の主張が採用される。
- prima facie case of unpatentability
- 拒絶に結び付く程度の証拠。IDSの提出情報。
- prima facie evidence
- 外観的証拠。決定的ではないが、少なくとも常識に従うとき、説得力があると見られる証拠。相手方の反証の前の段階で手続きを進行させるために用いられる。
- printed matter
- 印刷物(特許の保護対象から除外されたもの)。
- printed publication
- 印刷された刊行物(§102(a)(b))。
- process
- 方法(§101)。
- process patent infringement
- プロセス特許侵害(§271(g))。プロセス特許侵害とは、米国で特許された方法によって製造した製品を許可なく米国内に輸入するか、または米国内で販売又は使用する者が、当該製品の輸入、販売又は使用が当該方法の特許権の存続期間内に行われた場合には、侵害者としての責任を負う。
- product by process
- 方法限定製品。
- prosecution
- 手続遂行。
- prosecution history
- 手続の履歴、例意見書等の内容。
- prosecution history estoppel
- 審査経過禁反言。審査段階で出願人が登録許可を得るために、発明の範囲を狭く主張したものの、特許権が発生して侵害訴訟を行う段階で、権利範囲を広く主張することは、衡平の原則に照らして許されない、とする法理論。
- prosecution laches
- 審査懈怠。クレームを出現させるのに審査段階で合理的でない遅延(unreasonable delay in presenting the issued claims)を行った場合は、そのクレーム特許を無効とする判断(Lemelson Case 2004.1.23. DC Nevada)。合理的でない遅延とは、2〜9年の遅延をいう。よって、米国出願から2年以内に全ての発明をクレーム化しないと審査懈怠と解される恐れがある。例えば、実施例の一部しかクレーム化していない場合、他の実施例を3年後にクレーム化すると審査懈怠とされる可能性がある。
- protests
- 情報提供CFR1.291。出願公開された他人の出願に対して関連する公知例を提出して審査を拒絶に導く制度。公開より3ヶ月以内に公知例を提出しておくのが望ましい。遅くなると審査が終了してしまうおそれがある。
- provision
- 規定。
- provisional application
- 仮出願。通常の特許出願要件を満たしていない簡易な形式の出願のこと(§111(b))。
仮出願では、クレームは必要でなく、明細書と図面が必要である。しかも、その明細書では、発明の記載要件、実施可能要件、ベストモード要件を満たしている必要がある。ただし、宣誓書及び先行技術開示を提出する必要がない。
仮出願は、1年で取り下げられたものとされるため、その前に通常の特許出願に移行すれば、仮出願の出願日で特許性を判断されることになる。仮出願は、英語以外の言語、例えば、日本語でも行うことができる。特許権の存続期間は、仮出願の日からではなく、通常の特許出願の出願日から起算される。仮出願は、継続出願、分割出願の基礎とはならない。
また、パリ条約の優先権主張の基礎とすることができるが、1年以内に通常の特許出願を行い、仮出願との関係を明記することが条件となる(§119(e))。 - provisional right
- 補償金請求権。実施料相当額(reasonable royalty)を特許後にもらえる。
- public knowledge
- 公知の知識。
- public use
- 公用。
- publication
- 刊行物。
- publication of patent application
- 出願公開(pre-publication)。
■Q
- qui tam action
- 個人による代理訴訟。
- Quid pro quo
- 特許の対価
■R
- rationale
- 論理的根拠、拒絶の根拠。
- RCE
- Request for Continued Examination参照又はRequest Continued Examination。
- reason of rejection
- 拒絶の理由。
- reasonable diligence
- (着想から実施に至る間の)誠実な努力。
- reasonable royalty
- 合理的な実施料、実施料相当額。合理的実施料の要素は、1.他のライセンス、2.製品の利益、3.クレームされた特徴(claimed feature)の寄与、4.クレームされた特徴からのコスト節約(Cost saving)。
- rebut
- 反駁する。
- rebuttable presumption
- 反論可能な推定。
- rebuttal brief
- 請求人の反論(当事者系再審査の審判)。
- rebuttal evidence
- 反駁の証拠。
- reduction to practice
- 実施化(RTP)。actual RTP(現実の実施化)とconstructive RTP(法定の実施化)がある。
- reexamination
- 再審査。特許の有効性について誰でも請求できる。但し、提出できる資料は、先行特許と刊行物に限定され、これらに基づく新規性・非自明性が審査されることになる。また、再審査は、特許権者が請求してもよく、この場合、訂正審判の意味合いとなる。
1999年改正前までは、第三者は再審査を請求できるだけで審理に関与できない査定系再審査しかなかったが、異議制度を有するEC、日本からの要求で、再審査請求後にその審理に第三者が関与できる当事者系再審査が導入され、請求人はいずれかを選択できるようになった。 - reference
- 引用例。
- rehearing
- 再口頭弁論。
- reissue
- 再発行特許。特許登録後に、権利者が自己の特許の欠陥を発見した場合、又はクレームの拡張、減縮を希望する場合に、特許権者がクレーム、明細書等を訂正できる制度。再発行特許の出願の目的は、1.クレーム、明細書、図面の欠陥の訂正、2.クレーム範囲の拡張、3.クレーム範囲の減縮、4.新たなクレームの追加、5.共同出願人の訂正、6.原出願での優先権主張に関する誤りの訂正、原出願で忘れた優先権の主張、である。クレーム範囲の拡張を目的とした再発行特許出願は、原出願の特許付与の日から2年以内に、原出願の出願人(発明者)が行う必要がある。それ以外の目的の再発行特許出願は、原特許の存続期間中で、権利の承継人が行うことができる。
再発行特許のクレームは、訂正された内容で始めから許可されたのと同じ法的効果がある。但し、再発行特許が原特許のクレームの範囲を拡張する場合で、第三者が原特許のクレームに含まれない拡張部分の発明を実施している場合には中用権(intervening right)が認められる。また、原特許のクレームを侵害していたが、その侵害クレームが再発行により変更になった場合、訂正クレームを侵害しているか否かを問わず、再発行特許前の過去の侵害について責任を問われない。また、原出願で放棄したクレームを再発行特許出願によって獲得することはできない。 - rejection
- 拒絶、新規性/自明性等の実体的事項に関する拒絶。
- related art
- 関連技術。
- related invention
- 関連発明。
- remand
- 上級裁判所が下級裁判所に審理を差し戻すこと(send back)。
- remarks
- 意見書。
- remedy
- 救済。
- reply brief
- 応答理由書。
- request for admissions
- 自認の要請。当事者間で主張に不一致がなければ、争点を減らすために原告から被告に対して自認を要請するもの。
- Request for Continued Examination
- 継続審査請求(RCE)。2000年5月29日以降の出願に適用される出願継続手続。RCEは、新たな出願ではなく、審査を継続したまま最終拒絶の回避の請求を行うものとなっている。
- request for production of document
- 証拠書類提出要求。訴訟に関して証拠となる相手が所有する全ての書類の提出を要求すること。
- requests for documents and things
- 証書等要求。
- res judicata
- 既判力。
- respondent
- 被上告人。
- response
- 応答。
- restriction requirement
- 限定要求。審査官は、クレーム中に2以上の異なる発明が含まれていると認めたときは、出願人に対して1つの発明に限定(restriction)するよう要求する。出願人はその要求に賛同できないとしても、1つの発明に限定しなければならない。限定したクレームだけが審査を受け、限定しなかったクレームはすべて審査経過から排除される。削除されたクレームについては、分割出願が可能である。
- right to appeal notice
- 審判請求権通知。当事者系再審査の審査官から審判できる旨の通知。
- rocket docket
- バージニア州西部地区連邦裁判所。提訴から公判終了まで数ヶ月という短期裁判を行う裁判所のこと。この裁判所で特許訴訟の被告になった場合は、十分な準備ができないため移送を検討すべき。
■S
- sale
- 販売。米国における特許出願日(優先日ではない)より1年を越える以前に、米国内において公に販売されている場合、特許されない。[§102(b) statutory bar(法定拒絶条項)]
販売とは、利益を目的とする完成品の販売、又は販売の申し出をいい、試験的販売又は準備行為は含まない。 - sanction
- 制裁措置。制裁措置を取る。
- scienter
- 隠す意図。
- scientific principle
- 科学法則。
- Seiko-Epson Case
- セイコーエプソン事件。地裁判決では、英文の出願宣誓書に英語を十分に理解できない発明者がサインしているため、特許を無効としたが、CAFCでは、規則に反するものであっても、欺く意思がない以上、特許を無効とするものではないと判示した(CAFC 1999.9.8)。宣誓書は、英文と日本文の併記のものを用いるのがよい。
- single dependent claim
- 単一従属クレーム。
- single means claim
- 単一手段クレーム。単一の手段のみから成るクレームは、実施可能な記載の欠如を理由に§1121.で拒絶される。
- Solicitor General
- 司法長官。最高裁で政府側の弁論をする司法長官。通常、代理人の弁護士が担当する(Deputy Solicitor General)。
- sound
- 称呼(商標の類似の一要素)。
- species
- 種(election species requirement参照)。
- specification
- 明細書。公開制度導入に伴い、段落番号[0001]等を半角太文字で挿入し、その段落番号に続く文章との間に最低でも4スペースを設けるよう推奨されている。
- stand-still agreement
- 停止契約、特許権侵害訴訟で用いられる。
- State Street Bank Case
- ステート・ストリート・バンク事件。State Street Bank & Trust Co., v. Signature financial Group Inc., CAFC 1998)
ビジネス方法であっても、有用であって、具体的で、更に有形の結果(useful, concrete and tangible result)であれば、法定の主題(subject matter)となり、特許されると判示した。この事件の最高裁判決も、CAFCを支持した。 - statement
- 書き方。
- statue
- 成文法。
- statutory bar
- 法定拒絶条項。
- statutory conditions
- 法定要件。
- statutory disclaimer
- 法定放棄。判決によって、無効なクレームを放棄して有効なクレームを存続させることができる。権利放棄は登録を受ける必要がある。
- statutory requirement
- 法定要件。
- sua sponte
- CAFCが自発的にen bancにすること[ラテン語]。
- subject matter
- 主題、要旨、特許法の保護対象(§101)。
- submission
- 情報提供。出願公開された発明の特許性を争うために、刊行物を出願公開後2ヵ月以内に特許庁に提供すること。提供期間が短いこと、提供者に陳述が認められないことからあまり利用されていない。
- substantial new question of patentability
- 新たな問題提起。当事者系再審査を行うに値する問題があるかどうかを決めるもの
- substantial reason related to patentability
- 特許性に関連する実体的理由。Hilton Davis最高裁判決(Hilton Davis Chemical Co., v Warner-Jenkinson Co,.最高裁 1997)で、均等論と禁反言について、「特許性に関連する実体的理由」によって発明の一部を放棄した場合、その後、放棄したクレーム範囲で均等を主張することはできないと判示された。Festo事件CAFCでは、「特許性に関連する実体的理由」について特許権発生に対して影響を与えるいかなる理由をも意味し、§102、§103の下で先行技術を克服するために補正を行う場合に限られないとした(complete bar)。更に、Festo事件最高裁判決では、「特許性に関連する実体的理由」についてflexible barを採用した(Festo事件参照)。
- summary judgment
- 略式決定。
- supplemental examination
- 補充審査。
■T
- teachings
- 教示。
- terminal disclaimer
- 特許権の存続期間の一部放棄。自明型の二重特許(obviousness type double patenting)で拒絶理由を受けた場合は、拒絶理由を回避するために、§253により拒絶対象となっている出願の特許の存続期間を、引用されている特許の存続期間と一致させるよう期間の一部を放棄する手続である。但し、両特許の権利者が同一である場合に有効であるため、特許権の分離移転は認められない。
- termination of appeal
- 審決の確定。
- trade dress
- 商品の形状。例)アップル対SOTEC
- transposition
- 語句の置き換え(商標)。例えば、WINMARKとMARKWINの場合。米国商標法では類似とされる。
- traverse
- 抗弁。反論。限定要求(Restriction Requirement)に対して発明の単一性がある旨の反論(抗弁)すること。
- treatise
- 論文。
- treble damages
- 3倍賠償。故意侵害に対して、裁判所は、認定された損害額の3倍まで損害賠償を増額できるというもので、懲罰的損害賠償と呼ばれている。尚、米国民事訴訟において、通常の損害賠償は9倍まで認められている。3倍賠償の認定は、裁判所のみが行うものであって、陪審審理によって侵害が認定されても、3倍賠償を決定する権限は陪審員にはなく、裁判所にある。
故意侵害を避けるためには、事前にニュートラルな専門家(弁護士等)の鑑定(Expert Opinion)をもらっておくのがよい。 - triple identity test
- 三重の同一性テスト。FWR test 参照。
■U
- unclear
- 不明瞭な(§112)。
- USPTO
- 米国特許商標庁(United States Patent & Trademark Office)。
- utility
- 有用性(§101)。
- utility application transmittal form
- 出願送付票。特許出願に際して、明細書、図面等の出願書類のチェックリストとなるもの。
■V
- vacate
- 差止命令等の判決の効力を無効にする。
- vague term
- 広すぎる用語。クレームにおいて明細書の予定する範囲を超えた広い用語のこと。
- venue
- 裁判管轄。裁判籍。
- verdict
- 陪審員の評決。
- vexatious litigation
- 濫訴
- videographer
- ビデオ収録官。
- vitiate
- 無効にする。
■W
- warning letter
- 警告状。soft warning letter(実施許諾の用意があることを示す警告状)とhard warning letter(侵害があることを示し、差止を求め、従わなければ法的手段をとるという警告状)とがある。hard warning letterに対して、確認判決訴訟(DJ Action参照)で対抗できる。
- well-known scientific principles
- 広く知られた科学的原理。
- whois search
- 氏名からその人の情報を得る調査(商標の権利者を検索する場合に用いられる調査)。
- withdraw
- 撤回する。
- written description requirement
- 開示要件。3つの明細書記載要件の一つ。description requirement参照。
- written interrogatories
- 質問状。質問状とは、弁護士が訴訟に必要と思われる情報を得るために、相手の主張に対する詳細な説明を要求できるもの。
■X
該当なし
■Y
- YBM Case
- 均等論に対して、CAFC 1998, USP4,588,439。Maxwell Caseとは異なる判断をしたが、JJ Caseでその判断は否定された。
■Z
該当なし